京ことば通信 ================================================= 葉月
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★京ことば 「まきのは」 相馬 大
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八月九日・十日は、六道珍皇寺が、六道参りのひとびとで、にぎ
わいをみせる。延暦十三年(794)、桓武天皇が、長岡京から、
平安京に移るとき、この地を、ひとびとの葬所と定められたと、『
華実年浪草(かじつとしなみぐさ)』にある。
そして、多くの高野槙(こうやまき)が植えられたと、言い伝えら
れてきている。それで、槙の葉に、祖霊をのせて、帰るという。珍
皇寺の鐘が、あの世までひびき、祖霊を迎え、槙の葉にのせて帰る
ものと、信じてきた。
打てばひびく
ものと知りつつ
迎え鐘
服部嵐雪(はっとりらんせつ)
いまは、町家が並び、高野槙の木もない。が、京都のひとは、昔
のまま、祖霊を、槙の葉にのせて帰る。あの光源氏の、母の葬送の
松明(たいまつ)の火が、高野槙の木の下を行ったかと思うと、槙の
葉が、美しくみえる。
(作者については http://www.kogetsu.com/kotoba/soma.html
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★「和を究める」〔葉月〕 (「京都歳時記」より)
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◆八朔
八朔とは、陰暦の八月朔日(ついたち)のこと。本来は稲の穂入
りの時期を迎えるにあたり豊作を願う行事であったが「田の実」
から「頼み」に通じるとのことで、日頃頼みとしている人、つま
りお世話になっている師匠や出入り先などに贈り物をする風習が
生まれた。
この慣習は、一説には後嵯峨天皇の時代から見られたとも伝え
られている。現在でも、祇園などの花街では、舞妓や芸妓衆が、
日頃お世話になっている芸事のお師匠さんやお茶屋さんに挨拶に
回る風景が見られる。
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★葉月の京だより
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◆松上げ
八月十五日(月) 花背八桝町(京都市左京区)
花背は京都北郊の山村だが、八月十五日、同地で「松上げ」と
呼ばれる珍しい行事がある。これは、盆の精霊送りと火災予防・
五穀豊穣を祈願する火祭りで、火神迦遇槌(かぐつち)神を祀る愛
宕神社への聖火奉納に由来すると言われる。
上桂川の扇状地の灯籠木場(とろきば)に、約一千本の松明(た
いまつ)が準備され、その中央に高さ20メートルの灯籠木が立
てられる。これは先端に竹で組んだ大笠を取り付けたもので、一
週間かかって作られる。
午後八時過ぎ、愛宕社に参って神火を松明に移し、九時になる
と、地元の保存会の人々によって一斉に松明に点火される。そし
て、鉦や太鼓が鳴り響くと、それを合図に、小松明(上げ松)が
くるくると回されて灯籠木めがけて投げられる。松明が先端の大
笠にうまく入ると、中の杉葉に点火され、一気に大笠が燃える。
大笠が燃え尽きてしまうと灯籠木を倒し、「やーとこせー」と、
伊勢音頭を歌って春日神社へ参詣し、行事の終了を奉告する。
夜空に飛び交う小松明が光の放物線を描き、火の粉が飛び散る
壮大な火祭りである。
八月二十四日には、広河原(京都市左京区)と雲ヶ畑(京都市
北区)でも、松上げが行われる。
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