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 その五十六  京の桜いろいろ
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            
 四月も半ばとなり、京都の花見もそろそろ終盤といった感じになってきました。
遅咲きで有名な仁和寺の御室桜や大原など山あいの桜はまだ大丈夫ですが、市内の桜はそろそろ散り始めているようです。

 「京だより」この季節恒例の『お花見のまとめ』として、いくつか曰付き(?)の桜を集めてみました。
  

 ※クリックすると大きい画像がご覧いただけます。
 
 京都市外の東にある吉田山周辺には、金戒光明寺をはじめいくつも桜の名所がありますが、これは真如堂(真正極楽寺)の境内にある桜です。
 本堂の方から見ると三重塔の後ろ側になってしまうのですが、「見頃です」という小さな看板が立っていて見に来る人への心遣いを感じさせます。
 三重塔の建物を背景にして
 こちらは京都御苑・学習院跡にある「桜松」(「松木の桜」)です。
 クロマツの樹の上の窪みに鳥が運んできたであろうと思われるヤマザクラが芽吹き、やがて花を咲かせるようになりましたが、1993年にマツは枯死。
 サクラはそのまま咲き続けていましたが、1996年4月17日、その年のサクラの満開を過ぎてまもなく桜松は倒れ、以来12年もの間、倒れたままの姿でサクラは花を咲かせ続けています。
 森林で見られる「倒木更新」を思い起こさせる情景です。
 伏見区・墨染にある墨染寺(ぼくせんじ)の墨染桜です。
 墨染寺は通称「桜寺」とも呼ばれていますが、その名前の由来はこの「墨染桜(すみぞめさくら)」で、地名もここから付けられました。
 写真では光線の加減で分かりにくいかもしれませんが、純白の花びらがほんのり薄墨色に染まっているかのように見えます。
 ソメイヨシノなどの桃色がかったサクラと比べると違いが良く分かります。
 墨染寺は、貞観十六年(874)創建の貞観寺がもとで、豊臣秀吉によって再興されました。
 平安歌人、上野岑雄(かんつけのみねお)が藤原基経の死を悲しんで、「深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨色に咲け」と詠んだところ、薄墨色の花が咲くようになったと伝えられています。
 この樹は三代目だそうです。
 こちらは京都でも知る人ぞ知る、といった場所ですが、洛東・泉湧寺の塔頭・新善光寺です。
 後嵯峨天皇が長野県の善光寺の阿弥陀如来を模刻させたものを本尊としています。
 門前からの光景です。
 門をくぐったところに大きな枝垂桜があります。
 訪れた日はちょうど満開の見頃でした。
 枝ぶりも美しく、良く手入れされていることが窺えます。
 境内の奥にも立派な枝垂桜があるそうですが、こちらは通常非公開です。
 桜の樹にもいろいろな歴史や逸話があります。
そんな背景を思い出しながらの花見もまた趣があるものです。
(2008年4月)

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